東海林慎太郎(AIT)
プロジェクト・マネージャー
バッカーズ・ファンデーションとAITは、2007年からアーティスト・イン・レジデンスプログラム (The BAR)を通して協働を続けています。
The BAR vol.1からvol.10までは、毎年2名のアーティストとキュレーターを日本に招聘して、リサーチから制作された作品を展覧会で発表してきました。中南米やアフリカ、東南アジアよりプログラムをきっかけとして初めて日本、ひいては海外に滞在するアーティストも積極的に招き、意欲的な創作活動を紹介するなど、双方にとって有意義な学びの場を作り出してきました。
10年に亘るこうした活動を経て、vol.11を数えた2019年より、国内のアーティストにも新しい経験の機会をもとに創作活動の継続と促進を図ることを目的として、毎年2名を推薦、それぞれの目的に合わせた国内外での活動を支援しています。
2020年のThe BAR vol.12では、アーティストの占部史人さん、川内理香子さんを選出しました。ここに、プログラムでサポートしたお二人の活動を紹介します(2020年からのパンデミックよって渡航が困難となった為、海外渡航予定を変更して国内での継続的な活動をサポートしました)。
占部史人|Fumito Urabe
愛知県生まれ。真宗の寺院で生まれ育ち、幼少の頃から仏教思想の影響を受ける。 すべてのものが流転することをテーマに、訪れた場所で文化人類学手法を用いたリサーチを行い、拾い集めた素材を用いたり着想を得ることで作品を制作。 近年には個展「ガンジス河の砂の数ほどの孤独」(金津創作の森美術館、2021 年)、「箱の生活」(東静岡アート&スポーツヒロバ、2020)、「蜜の流れる大地」(GALLERY SIDE2、2016)のほか、「いのちの移ろい展」(碧南市藤井達吉 現代美術館、2021年)、「水と土の芸術祭2018」(新潟市、2018)などグループ展や芸術祭にも参加。2020年には「Artist Award In the Cube 2020」(岐阜県美術館・図書館)に入選。詳しくはこちら
新しいアーティスト ・ラン・スペース作り
現在は静岡を活動拠点としながら、郊外にある建物をアーティスト・ラン・スペースとして新たに 生まれ変わらせ、ホワイトキューブとは異なる展示と世代を超えたアーティストが創作活動と交流を行い、あらゆる人が現代アートに触れることのできるスペース作りを計画。 100坪ほどの敷地に建つ木造家屋をUFO STUDIO(Urabe Fumito Outback Studio)と名付け、学生を 含めた仲間の手によって丁寧にリフォームを施し、展示だけでなく茶室やミュージックルーム、 暖炉などを兼ね備えたスペースとして時間をかけて拡張することも見込んでいる。庭には、自身の 創作にも大きな刺激になっているヘンリー・D・ソローの小屋にも似た作品を制作するなど、UFO STUDIOそのものが自身の世界観を体現するような「場」であり、ここから新たな情報発信地を目指す。2022年にはこけら落としとして展覧会を予定。
川内理香子|Rikako Kawauchi
東京都生まれ。「身体」というテーマから出発し、そのコミュニケーションで見え 隠れする自己・他者の曖昧な関係性などを作品のモチーフとする。ドローイングやペインティングに加えて、ネオン管を用いて有機的な人体ドローイングを作るな ど、作品はメディウムの変化にも富む。
近年の個展に「afterimage aftermyth」(六本木ヒルズ A/Dギャラリー、2021)、「drawings」(WAITINGROOM、2020)、「Myth & Body」(三越コンテンポラリーギャラリー、2020)のほか「-Inside the Collector’s Vault, vol.1- 解き放たれた コレクション展」(WHAT、2020)、「Input / Output」(銀座蔦屋書店、2020)、「日本財団 DIVERSITY IN THE ARTS 2020 ミュージアム・オブ・トゥギャザー サーカス」(渋谷ヒカリエ 8/COURT、2018)などグループ展に参加。2015年、第9回shiseido art egg賞受賞。2020年には初の画集『Rikako Kawauchi drawings 2012- 2020』を刊行。 詳しくはこちら
ウェブサイトのリニューアル制作
これまでのホームページを日英バイリンガル対応することにより、国内だけでなく海外にも創作活動と作品を発信するウェブページを新たに制作。ドローイングやペインティングなど作品をアーカイブすることも目的に、主に展覧会での展示風景も更に見やすくデザインした。ほかにも、最 新の活動を告知するセクションや略歴、ステイトメント、問い合わせなど、アーティスト活動に必要な情報発信源として、また、パンデミックを境に美術館に足を運ぶことができない昨今の状況を鑑みて、作品を目の前にしたようなインパクトが与えられるようオンライン上のスペース作りを心がけた。作品鑑賞を取り巻く環境がこうして変化する中、近年は映像で展示風景を残すことも多い為、今後はそれらも加えるなど、記録としてのウェブサイトが持つこれまでの役割以上に、新たな鑑賞体験を生み出す工夫も計画中。
川内理香子 ウェブサイト
RESIDENCY とは?
RESIDENCY
海外の文化機関や財団との協働を通じて、多領域で活動する芸術家や研究者を日本に迎え、知識と経験を共有する国際交流の場を創出しています